http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20170125
内容は
「日本の自動車産業は大幅に輸出超過で、米国の自動車産業は大幅に輸入超過だ」 ……(*)
ということの指摘。それで「大変だあ」と騒いでいる。
(1) 既知
(*)の内容は、経済を知っている人なら、誰でもよく知っていることだ。今さら騒ぐようなことじゃない。
こんなことを今さら騒ぐなんて、どうかしている。単に自分の無知をさらしているだけだ。
日本の輸出構造がどうなっているかなんてことは、貿易を学べば最初に知ることだ。こんな初歩的な知識も知らないで、よくまあ、今まで偉そうに経済のことを書いていたもんだな。呆れる。
高校生だって、このくらいのことを知っている人は多い。大学入試のセンター試験でも初歩的なことだろう。こんな初歩的知識を知らなかったなんて、中学生か。厨二病?
(2) 貿易
そもそも、ちきりんは貿易というものの根源を理解できていない。
貿易とは、得意な産業では輸出して、不得意な産業では輸入することだ。これは「比較優位」という概念で説明される。この概念ぐらいは知っているよな?
日本で言えば、自動車や電子部品などを輸出して、農産物や石油や原料を輸入する。特にアメリカとの関係で言えば、自動車を輸出して、牛肉や戦闘機やオスプレイを輸入する。こうして、持ちつ持たれつの関係になる。
なのに、そのうち日本の輸出品目である自動車だけを取り上げて、「日本の方が一方的に輸出している。やばい」と指摘しても、何の意味もない。それだったら、「日本はアメリカから牛肉や兵器を一方的に輸入している。アメリカも日本の牛肉や兵器を同じぐらい購入するべきだ」となる。しかし、馬鹿げていますね。
貿易では、貿易品目ごとではバランスが取れなくていい。それが原則だ。そんな基本も理解できないのが、トランプと、ちきりんだ。
ついでに言えば、貿易は、二国間でもバランスを取れなくてもいい。全体でバランスを取れればいい。
日本はアメリカに自動車を輸出する。アメリカはアラブに兵器を輸出する。アラブは日本に石油を輸出する。こうして三角形の三つの頂点で貿易は循環する。それで全体としてバランスが取れている。
トランプやちきりんの理屈を取るなら、日本はアラブに石油をいっぱい輸出することで、貿易を均衡させる必要がある。しかし、そんなことは馬鹿げている。
トランプやちきりんは、「貿易とは何か」をまったく理解できていない。
※ 追記
【 参考情報1 】
一方で、現地生産の台数は、大幅に増えている。
http://www.jiji.com/jc/article?k=2017012500851&g=use
http://www.asahi.com/articles/DA3S12765436.html (図)
http://www.asahi.com/articles/ASK1S5GN1K1SUHBI01L.html
トヨタは、輸出比率が高かったが、近年は現地生産比率が高くなった。
なお、1番目の記事では、対米輸出台数は「175万台」と記してある。
ちきりんの記事では、「日本の生産超過台数が 423万台」とあるが、これは、全世界を対象とした数字だ。対米貿易とは関係ない。全然関係のない数字を持ち出して、これを対米輸出台数だと思わせている。数字の読み方を間違えている。ひどい。
【 参考情報2 】
米国の貿易収支において、日本が占める率は近年、大幅に低下した。
http://3rdworldman.jugem.jp/?eid=168
というのは、
「自動車産業のせい」というのも誤りだし、「日本のせいだ」というのも誤りだ。
誤認の根源は、彼が基本データを理解できていないことだ。まずは上のグラフを教えて上げるべき。
【 参考情報3 】
「貿易で正論を述べても、失業している白人困窮層の心には届かない」
http://www.asahi.com/articles/DA3S12744609.html (翻訳)
http://blog.livedoor.jp/koyamaiwao-0525/archives/68417516.html (転載)
要するに、こうだ。
アメリカでは毎日、大量(7万5千人)の失業者と雇用者が発生する。それは通常の出来事だ。そのなかで米国の自動車産業による雇用が数百人ぐらい増えたからといって、それはほとんど誤差程度の意味しか持たない。トランプが何かを言って、フォードやトヨタの雇用者が少し増えたからといって、何の意味も持たないのだ。
まったく、ごもっとも。米国が失業者を減らしたいと思うのであれば、日本の自動車産業をいくら攻撃しても意味がない。大切なのは、マクロ的な経済政策を妥当にやることだ。そして、そのために最も効果的な方法は、ピケティの方法だ。つまり、富裕層に増税して、中低所得者の所得を増大させることだ。こうして富の偏在を是正することで、GDP が拡大して、失業者は減少する。これが最も正しい政策だ。
ところがトランプや共和党は逆に、富裕層で減税しようとする。これではかえって失業者は増えてしまう。
クルーグマンや経済学者の話をきちんと理解すれば、トランプのやっていることが、狙いとは正反対の効果を持つばかりだとわかるだろう。ただし、それを理解するだけの知恵がないのが、トランプとその支持者だ。
※ 注記
本項では「トランプに反論するにはどうすればいいか」という政治的手法については述べていません。
本項の目的は、「何が正しいか、何が間違っているか」という真相を明かすことです。どこがどうなっているかを理論で示すことが目的であり、あくまで学術的な話です。現実世界でどういう反論をするべきかというような政治手法は、話の対象となっていません。
さすがに小学生レベルなのでちきりんが知らないことは無いだろう あれだよ トランプが「米国人の雇用を奪うなけしからん」って言ったことに反論して 「トヨタはアメリカに工場作っ...
どう読んだらそうなるのか。 すごい擁護の仕方だな…
http://openblog.seesaa.net/ でやれ南堂
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元増田の記事について、面白いブコメが二つあったので、引用する。 andalusia 教科書レベルでは正しいが現実を見よう。米国→日本の貿易の一位は食料品・農水産物 http://bit.ly/2jTyoM...
いままで国際経済で比較優位取り上げてきたけど、貿易で比較優位ってバカの言うことじゃない?というのが近年経済学者の潮流なので
http://anond.hatelabo.jp/20170126101104 この文書の内容の大枠自体には特に反論はない。 なんせ元増田氏が書いてるよう「経済の基本的な内容」だ。 反論もへったくれもないw ただしだからと...
トランプ氏が馬鹿でも無知でもなく、真に合理的な判断から「世界中が不幸になる選択」をしている(アメリカ以外の不幸など知るか!) 可能性は見落とすべきではないと思う。 ...
ごく表面的な表向きの顔しか自分には知りえないトランプ氏について 「氏の気質を理解できてる」と言える根拠は自分には無い。 ゆえに論理的な側面からのみの判断も捨て去るべきでは...
> 「アメリカにとってのみなら、けっして悪くは無い政策」である可能性は十分にあるのだ。 「悪くはない」とは言えるかもしれない。 しかし、今ここで問題となっているのは、「...
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http://anond.hatelabo.jp/20170126101104 クルーグマン、ピケティ、比較優位、経済学部入って3ヶ月くらいの子が使いそうなフレーズばっかり並べてカッコつけたいのはわかるけれどもどうして自...
言いたいことはよく分かるけど、自動車産業のそういう意味の優位性もまた多少かじっただけの高校生とかが使ってるような理論だったと思うが。