弁護士はオリンピック選手で、行政書士は国体選手!?

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護士はオリンピック選手で、行政書士は国体選手!?

※行政書士の柴田崇裕さんによる連載、第5回目です。

【これまでの記事】
(1)「非弁行為って?」縄張り争いを繰り広げる弁護士会と闘う行政書士の手記
(2)「非弁活動容疑で逮捕」という誤報をおこない謝罪も訂正もしない『毎日新聞』
(3)事件性必要説、不要説とは?
(4)「慰謝料の請求=事件性アリ」なんでしょうか?

●連載第5回「弁護士はオリンピック選手で、行政書士は国体選手!?」

 「弁護士はオリンピック選手で、行政書士は国体選手みたいなものです。だからある程度は弁護士を立ててあげないといけない。」

 これは鳥取県行政書士会の会長である有田敬氏が、行政書士会に入会するための登録式で新人行政書士に向けて発言したものです。

 この発言を聞いた新人行政書士の方は希望を持って、行政書士としての第一歩を歩みだそうとしていたはずですが、登録式の場で会長がこういった発言をしたことにとても驚いていました。

 鳥取県行政書士会は僕が告発される1年前に、僕が弁護士から不当な圧力を受けたことを報告したところ全会員に対して

「不当な圧力には会として対応する」

 と通知する文書を送りました。しかし、1年経って大阪弁護士会が動き出した途端に沈黙してしまったんです。

「弁護士はオリンピック選手、行政書士は国体選手」発言があったことを聞いて、これまで約1年に渡って鳥取県行政書士会が僕の行った業務が非弁行為(弁護士法違反)に該当しないことを認めながら(*)、大阪弁護士会に対して何も行動を起こさない理由が納得できました。

(*)鳥取県行政書士会の理事が非公式に僕に伝えてきたことで、公式には見解の表明はしていません。

 有田敬氏の発言は更に次のように続きます。

 「もちろん、前に出て主張しなければならない時もありますが、むやみに出れば良いというわけではありません。私は長年この世界にいるので、そういう駆け引きも良く分かっています。お互い喧嘩せずに仲良くやっていくのが一番良いですからね。」

 仲良くするためには、弁護士会の対応に問題があっても行動を起こさないことが“駆け引き”になるのかと疑問を感じますし、僕の知る限りでは鳥取県行政書士会が弁護士会相手に前に出て主張したということは聞いたことがありません。とにかく弁護士会を敵にまわしたくないんだろうなということは、これまでの発言で良く分かります。

 弁護士になるための司法試験と行政書士試験ではその難易度に相当な差があるのは事実です。ですが、そのような難易度の差があることと資格の優劣は関係ありません。

 行政書士ではない一般の人が、「行政書士は弁護士より下の資格」と言っていることを聞くことはありますが、行政書士会の会長として、それは絶対に言ったらいけないことではないでしょうか。

 行政書士会について行政書士法には次のように定めています。

「行政書士会は、会員の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡に関する事務を行うことを目的とする。」

 僕は鳥取県行政書士会に、僕が告発されている問題について「適法な業務だったのか? 違法な業務だったのか?」について指導を求めましたが、残念ながら拒否されてしまいました。

 日本行政書士会連合会は僕に対する告発が発表された当初に、鳥取県行政書士会を通じて関係書類の提出などの調査を要求してきたので僕はこれに応じました。
*日本行政書士会連合会というのは鳥取県行政書士会の更に上の組織になります。

 日本行政書士会連合会からは鳥取県行政書士会の理事を通して非公式に「弁護士法に違反するところはなかった」と伝えられたのですが、僕が公式に見解を回答して欲しいと言ってもそれはしてくれません。会長の北山孝次氏にも回答を求めて書面を送りましたが、回答も何も無く、無視されているという状況です。

 大阪弁護士会などの弁護士会の行動が正しいとは思いませんが、行政書士会と日本行政書士会連合会の行動を見ているとその強気な姿勢だけは羨ましくもなってしまいます。しつこいですが、大阪弁護士会の行動を肯定しているわけではありません。

 弱気な行動ばかりの鳥取県行政書士会。
 強気な行動ばかりの大阪弁護士会。
 
 どちらにしてもこれでは本当に国民にとって頼れる弁護士・行政書士にはならないのではないでしょうか。自分たちの利益確保のために闘う弁護士会、強者に立ち向かえない行政書士会では国民からの信頼は得られないと思います。

(つづく)

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