「一億総活躍」社会を実現する具体的処方箋 省力、学習、公正の3つが課題解決のカギ

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第1回一億総活躍国民会議であいさつする安倍首相(写真:読売新聞/アフロ)

10月29日に、首相官邸で一億総活躍国民会議の初会合が開催された。筆者も民間議員として出席した。第3次安倍改造内閣では、加藤勝信一億総活躍担当大臣を据えて、取り組みを加速しようとしている。

そもそも、「一億総活躍」とは何か。何を意味しているかよくわからないとか、戦前の標語を想起させて復古的だとか、活躍したくない人もいるのに活躍を強制するのかとか、さまざまな見方がある。以下では、政府見解を並べるのが主眼ではないが、あらぬ批判をしても無意味なので、ひとまず政府の意図を確認しておこう。

あえて一億という言葉を冠した理由

「一億総活躍」が意味するところは、初会合で示された言葉を用いれば、「一人ひとりの日本人、誰もが、家庭で、職場で、地域で、生きがいを持って、充実した生活を送ることができること」がふさわしい。「活躍」という言葉には、「充実した生活を送る」ことが含まれている。

これなら、「国民総活躍」という言い方もできるかもしれない。しかし、敢えて「一億」と冠している意図は、初会合で示された言葉を用いれば、「少子高齢化という日本の構造的な問題について、正面から取り組むことで歯止めをかけ、50年後も人口一億人を維持」することを念頭に置いているからである。

安倍晋三首相は、初会合の挨拶で、「正に十人十色でありまして、それぞれの特色があって、それぞれの希望が叶い、それぞれが生きがいを持てる社会を私は創りたい。そう思っています。若者も年寄りも、女性も男性も、障害のある方も、また難病を持っている方も、あらゆる方々、たとえば一度大きな失敗をした人もそうですが、みんなが活躍できる社会を創るために、それを阻むあらゆる制約を取り除いていきたい。」と述べている。

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